視力が落ちた(大人)

視力が落ちた

視力が落ちた目で物を見るという作業は、日常のあらゆる場面で重要な役目を担います。
視力が落ちた状態で物を見ると、日常生活での不便や安全上の問題が発生しやすくなります。徐々に視力が落ちているように感じる場合、または急激に視力が落ちた気がする場合は、いずれも近視、乱視、老眼の進行、または目の病気が原因である可能性があります。
視力低下の症状が進行し、日常生活に大きな支障をきたすこともありますので、以下のような症状がある場合は、眼科を受診して原因を特定しましょう。

こんな症状はありませんか?

  • 最近急に、視力が低下した
  • 暗い所で物が見えにくい
  • 早期の受診が必要なほどの視力低下
  • 急激な視力低下が、突然起こった
  • 片目だけが見えにくい
  • 視界に光がチラつく
  • 視界が歪んでいて、物が見えにくい
  • 片目で見た時に、見えない部分がある
  • 見えにくくなったのは、近眼が進んだせいではないかと心配だ
  • 何も考えていないのに、顔が険しいと言われたことがある
  • 視力が低下し、黒い点や透明な浮遊物が視界に多く見えるようになった

など

以上のような症状がある場合は、早めに眼科を受診してください。重症化しないためにも、早めに医師の診断を受けることが大切です。

視力低下の症状を引き起こす病気

白内障

目の中には「水晶体」という透明な器官があり、レンズのような役割を担っています。白内障とは、この水晶体が濁り、視力が低下する病気です。加齢とともに発症しやすくなり、年間100万人以上の患者様が白内障の手術を受けているとされます。世界の失明原因の第一位は、未だに白内障ですので、放置すると失明まで至る病気です。
主な症状としては、目のかすみやぼやけ、強い眩しさなどが挙げられ、視力が暗い場所では特に低下したように感じる症状も一般的です。高齢者では、白内障による視力低下が、転倒・骨折や、認知症発症のリスク増加につながります。白内障の進行は緩やかで、ほとんどの場合、手術によって回復させることができるため、症状に気づいたら眼科を受診しましょう。

網膜剥離

眼球に入ってきた光が像を結ぶ、眼球の内側の部分を網膜と言います。網膜には、光や色を感じる細胞が並んでいます。網膜が剥がれると、視力低下だけでなく、視野が欠ける、視界に黒や透明の点が浮いて見える(飛蚊症)、暗い所に来ると閃光が一瞬見える、実際にはない物が見えるなどの症状が出ることがあります。視力をできるだけ保つためには早急な治療が必要な病気ですので、なるべく早く眼科を受診してください。

加齢黄斑変性

黄斑は網膜の中心部にあり、細かい部分を認識するのに使われる部分です。多くは黄斑部分に異常な新しい血管が生えてくることが原因ですが、原因が不明なこともあります。この部分に障害が残ると、文字が読めなくなるなどの深刻な病気に繋がることがあります。視力の低下、視界の歪み、注視している対象物が見えにくいなどの症状が現れたら、すぐに眼科を受診しましょう。片目に起こることがほとんどですが、稀に両眼に起こることもあります。

網膜中心動脈閉塞症

網膜にある動脈の根元が詰まることで、片方の視界が突然真っ暗になることがあります。心筋梗塞や脳梗塞と同じように、目の大事な欠陥が突然つまる病気です。このような重篤な症状が出る前に、一時的な視力低下などが現れる場合があるため、早めに受診することが大切です。動脈が閉塞した状態では、すぐに適切な治療を受けることでわずかに視力を残すことができる場合があります。しかしほとんどの発症例では、視力が回復しない深刻な病気の一つです。動脈硬化が原因と言われており、中性脂肪やコレステロール、糖尿病、高血圧などの内科的な病気の治療が非常に大切です。

糖尿病網膜症、増殖糖尿病網膜症

糖尿病によって血糖値が上がった状態が続くと、網膜の毛細血管が詰まったり破裂したりしやすくなり、視力低下に繋がります。糖尿病と診断された場合は、内科を受診して血糖値をコントロールする必要があります。加えて、糖尿病は進行して失明するまで自覚症状が現れないため、自覚症状がなくても、定期的に眼科を受診することが大切です。

受診の目安

突然の視力低下は重篤な目の病気が隠れている可能性があり、その場合は適切な治療を早期に開始しなければ、視力回復が不可能になることもあります。また、視界が歪む、飛蚊症が急に悪化した、視界が部分的に欠けるなど、他の症状がある場合も早期の眼科受診が必要です。
いつ、どんな症状が始まったのかがわかると診断がつきやすいので、受診前に覚えていることをメモしておくと診断の際に役立ちます。

視力低下の症状を引き起こす生活習慣とその対処法

視力低下は日常の生活習慣が原因になることが多いので、対処法や予防法を覚えておくと効果的です。目の酷使など過労が原因のことも多いので、休憩時間をこまめに設け、目を休ませることで疲労の蓄積を防ぐことができます。

メガネやコンタクトレンズが合っていない。

度数の合わないメガネやコンタクトレンズは、目への負担が大きく、視力低下の原因に繋がります。眼科を受診して正確な視力検査を受け、メガネやコンタクトレンズが合っているか、正しい度数で使用しているかを確認しましょう。近視や乱視、老眼は気づかないうちに徐々に進行していることがあります。メガネやコンタクトレンズを使用している方は、定期的に眼科にて精密検査を受けましょう。また、コンタクトレンズは、お手入れや耐久性に問題があると、視力低下などの症状や病気を引き起こすことがありますので、気になる症状があれば当院までご相談ください。

パソコン、スマートフォン、タブレットの長時間使用

パソコン、スマートフォン、タブレットの長時間使用これらの機器の画面を長時間見続けることで、瞬きが減少して目の乾燥を招きます。また、至近距離に焦点を合わせ続けることで周囲の筋肉が過緊張し、血流が悪化して目に疲れが溜まり、慢性的な肩凝りや頭痛を引き起こすことがあります。さらに、寝る直前まで画面を見続けることで、光の影響で入眠がうまくいかなくなり、睡眠障害に繋がることもあります。また、倍速での動画視聴は、目と脳に非常にストレスがかかります。これは近年問題になっているVDT症候群(IT眼症/テクノストレス眼症)という状態であり、部屋の湿度管理、画面の位置や角度、照明などの環境配慮によって改善が見込めます。
日常的な原因による視力低下と思われる場合でも、対策によって十分な改善効果が見られない場合は、早めに眼科を受診してください。

正常な視力はどれくらい?

日本人の正常視力は1.2~1.5で、一般に1.0あれば日常生活には十分とされています。

お子様の視力について

お子様の視力について裸眼視力が0.9~0.7であれば、メガネやコンタクトレンズの使用は必須ではありません。したがって、学校の検診や眼科の視力検査で0.6未満の場合は、集中力や目への負担を考慮し、授業中など限られた場での視力矯正をお勧めします。
文部科学省の調査によると、小学生の約32%(3人に1人)が視力1.0未満とされています。
近年、幼少期からスマートフォンやタブレット、パソコンに触れる機会が増え、従来注目されてきたゲームや液晶テレビ以外の生活環境も視力に影響していると言われています。また、体の発達が十分でない時期から、これらの機器の使用時間を制限するなど、お子様の成長を妨げないように管理することも大切です。

片目だけ視力が落ちる時は、ストレスが原因?

片目だけ視力が低下する目の病気もありますが、ストレスによっても視力が低下する場合があります。この場合、ストレスが解消されれば視力は回復するので、視力低下が一時的なものであれば過度に心配する必要はありません。
片目の視力低下が病気によるのか、あるいはそれ以外の原因によるのかを明確にするために、眼科への受診をお勧めします。

視力が回復する(治る)ことはありますか?

基本的に、低下した視力が回復することはありません。成長期に視力が低下する方が多いのは、身長が伸びるのと同じように目も成長し、その結果として視力が低下するからです。

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